僕が彼女を見たのは、土曜の午後、駅に隣接したファッションビルの中だった。
一目見て、胸が疼くような気がした。そういう経験ってあるだろ?
一目見ただけで、(あっ)と思うようなこと。
彼女は一人で、バッグや洋服が並んでいる売り場をながめながら
ゆっくり歩いていた。
年齢は20代なかばくらい。
やや茶色の長い髪が、肩のあたりまで波打っている。
スタイルのいい身体にぴったりはりついたブラウスから、
それとわかるような、大きな乳房が盛り上がっているのがわかる。
僕がみつめているのがわかったのか、彼女はふと目をあげて
色白の肌に大きな目。ハート型の唇がつややかなピンク色に
塗られて、まるで濡れているみたいだった。
目と目が合ったときに、彼女の方にも何かが走ったのがわかった。
それから…、僕は勇気を出して声をかけてみた。
一人ですか?とか、お茶でも飲みませんか?とか、ありきたりなことを
言ったと思う。僕達はコーヒーを飲みながら、少しおたがいのことを話した。
僕が大学生だと言うと、彼女は自分は26歳で結婚していると言った。
「え?結婚してるの?そんなふうに全然見えないけど…」と言うと、
「ありがと」と言って、彼女はとても可愛く笑った。
「だけどこんなふうに男と話しててだいじょうぶ?」
「じゃ、どうして誘ったの?」
と言って、彼女はいたずらっぽく、こっちを見た。
「だって…素敵だったからだよ」
「ほんとに、そう思う?」
「うん、すごく…一目見て、すごくキレイだと思ったよ」
僕がキレイだというと、彼女は少し赤くなった。 【「そんな恥ずかしいこと言わないで…」一目見てナンパした人妻と】の続きを読む